鯨の壁飾り、または小さなナンタケットバスケットの首飾り

ナンタケットバスケット

ナンタケットバスケットと、強面と。

元気になった子は、誰でしょう?

新しい尾鰭!!

古い古い壁飾り、厚みのある一枚板に鯨の彫り物が並んでいる。アンティークショップの片隅に、長らく埃を被って打ち遣られていたものだ。その理由は、一人だけ、尾鰭を失った可哀想な鯨がいたから。忘れ去られた姿に胸が痛んで、店主の言い値を値切りもせず、ふうふう言いながら、どうにか車に積み込む。この壁飾りの重い事と言ったらない。兎に角、早く、尾鰭を付けてやらなくちゃ。古い物や壊れている物は運気を下げると言う向きもあるらしいが、今のところ、一瞬たりとも運気が下がった事はない。悪い念が込められているからアンティークの品物はいけないとも。だとすれば、外国の城に住む人々は、悉く没落していなければならない。かく言う我が家も、とっくに邪念やらに破滅させられているはずだが、有難い事に、大いに栄えて幸せである。自分を信じて、優しく、愛のある生き方をしていれば、そんな荒唐無稽な事には振り回されない。件の鯨は、私の手製の尾鰭を得て、何十年ぶりにか、幸せいっぱいに泳いでいる。ありがとう、幸せだよ、と言っているに違いないのだ。

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