ナンタケットバスケット、または象牙の装飾品

ジュエリー

受け継いだ象牙の装飾品と。

アール・ドゥセット女史の作品。

ナンタケットバスケットには、象牙がよく似合う。部品や飾りに象牙が使われている事も、この籠を世界一高価で高貴な存在にしてきた理由のひとつかもしれない。捕鯨を生業とした島で誕生した籠だから、元は鯨の骨や歯で装飾したのだが、いつしか象牙を飾るようになった。今では何方も、色々と難しい。アメリカの名彫刻作家達は、危険に身を晒してまで象牙を彫るつもりはないから、次々と廃業してしまった。小さなバスケット型の首飾りは、アール・ドゥセット女史の作品。恐らく二度と手に入らない。そもそも、象牙の柔らかなで緻密な風合いが、アメリカらしい大らかな籠によく似合う。無類の象牙好きである日本人の遺伝子には、象牙を寵愛してきた古の記憶が組み込まれているのだろう。何代にも渡り受け継がれてきた象牙の装飾品達は、未来永劫大切にしていくべきだ。しかし、密猟によって乱獲された象牙の主なる取引先は、日本と中国なのである。悲しい現実を知らずに過ごす事は、もはや許されない。

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