気分が晴れる光、鬱が晴れる話

幸せの方法

夏の終わり、庭で見つけた烏瓜。

烏瓜の赤、秋の色。

縞々の瓜坊。

あなたは病気だと言われた時、この人達は何の話をしているのだろうと、全くの他人事として、狼狽る母をぼんやりと眺めていた。あらゆる感情が失われた、不気味な感覚で。私の場合は飲まず食わずでも大丈夫だったから、日毎に痩せ衰え、日が暮れた暗い部屋に座り続けていたり、人の言葉を理解できなかったり、今思えば完全なる鬱の状態だったが、当時は自分が病の訳はないと思い込んでいた。母は山手の歴史ある精神病院に連れて行くと言い張ったが、一生出て来れなくなると猛反対した父のお陰で入らずに済んだ。父はその代わりに、それまで絶対に許可しなかったニ輪の免許を取得するための手筈を整えた。そして半ば引き摺られるようにして連れて行かれ、通い始めたのだった。その後だいぶ長くかかって取得した頃には、私の病は驚くほどに改善していた。病院に通うくらいなら教習所に通えば良いし、バイクの事故で娘を失う方がまだましだと思ったそうだ。教習所に通うため規則正しく毎日を過ごすようになり、何より日光を沢山浴びるのが一番効くのだから、何もない日でも朝から日の当たる場所にいるようにと言われ、膝に猫を抱いてぼんやり座っていたりもした。今となればインターネットに情報が溢れているけれど、20年ほど前の事、父は感覚的なもので判断していたのだから凄い。かくして私の鬱病は改善され、命を失うような事にもならず今に至る。しかし10月から3月、または長雨の時期に調子が悪くなるのは昔から変わらず続き、そんなものと諦めていた。ある時偶然に吉濱ツトム氏の書籍(「隠れアスペルガーという才能」)やYouTube動画に出会い、それが季節性または特性による鬱と知り、数々の対処法を実行したところ、長年苦しんできた症状が大幅に改善された。例えば「ブライトライト」を毎朝浴びているが、ただ照明に当たるだけなのに、頭は霧が晴れていくように冴え渡り、過剰な眠気や身体の重さから解放され、快適で活動的な生活を送れるようになった。やはり「日照不足が鬱を招く」という父の感覚は正しかったのだ。照明ならば日焼けもしないから長く当たっていられるし、何より日が短く曇り続きの季節には不可欠だ。鬱に悩んでいる人は試す価値があると思う。もうひとつ、大切なのは「これをやれば、どんどんよくなる!!」と心から思い込む事。人は思ったように成る。願ったように成る。人からの忠告や助言を、純粋に真っ直ぐ、素直に受け入れてみる事が大切だ。ちなみにバイクは買ったものの数回きり乗って、早々に手放してしまった。教習所に通常の何倍もの期間通って、自分に運転が向いていないと痛感したのもあるが、色々な教官達から「あなたの死亡報告書が早々に教習所に届く気がしてならない」と言われたからでもある。あの忠告に素直に従ったから、私は今も幸せに生きている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました